大和徒然草子

奈良県を中心とした散歩や歴史の話題、その他プロ野球(特に阪神)など雑多なことを書いてます。

歴史の話

雪丸の寺、王寺町の達磨寺は見所がギュッと詰まった名刹

皆さんこんにちは。 今回は王寺町の観光プロモーション動画でも有名になった、雪丸ゆかりのお寺、達磨寺をご紹介します。 こちらが話題になった空飛ぶ雪丸の動画。今見てもかわいいです。 www.youtube.com 達磨寺はコンパクトな境内に、見所がギュッと詰まっ…

大師信仰と中世水堀の姿が残る集落・番条環濠(番条城)

皆さんこんにちは。 中世、外敵に備えて村を濠で取り囲む環濠集落が、日本各地に発生しました。 近代以降、都市化の波にのまれて多くの濠が埋め立てられ、その姿を消していった中、奈良県は全国的にも比較的多くの環濠集落が往時の姿をとどめていることで知…

忽然と消えた西の日光、内山永久寺の跡を巡る(永久寺跡~石上神宮~なら芸術文化村)

皆さんこんにちは。 現在の奈良県天理市にあった内山永久寺は、江戸時代までは大和国の中でも屈指の大寺院であったにもかかわらず、明治の廃仏毀釈で跡形もなく消え去った寺院として知られます。 内山永久寺のあった場所はこちら。石上神宮の南側にありまし…

江戸から昭和にかけての町並みが残る寺内町、大和高田

皆さんこんにちは。 これまで、今井、田原本、箸尾といった奈良県内の寺内町ルーツの町をご紹介してきた当ブログですが、今回は大和五ヶ所御坊の一つ、専立寺の寺内町から発展を遂げた大和高田市中心市街をご紹介します。 ※これまでの寺内町の記事も是非お読…

巽高取雪かとみれば雪でござらぬ土佐の城~高取城

皆さんこんにちは。 近年、竹田城や備中松山城といった、高い山上に築かれた山城が、観光地としても非常に注目され、人気を集めています。 今回は、全国でも屈指の規模を誇る山城、高取城をご紹介します。 Click here for the English article! 高取城とは …

幻の五新線と旧街道の町並みが残る五條新町をめぐる

皆さんこんにちは。 前回は旧筒井家重臣で、五條新町や肥前島原城築城で知られる松倉重政の事跡を中心にご紹介しました。 www.yamatotsurezure.com 暴君として悪名高い松倉重政ですが、重政が発展の礎を築いた五條新町は、江戸時代初期から現在まで生活の息…

二見城跡~名君にして暴君、五條に遺る松倉重政の事跡を巡る

皆さんこんにちは。 松倉重政という武将をご存知でしょうか。 安土桃山時代から江戸初期にかけて活躍した武将で、一般には肥前島原で苛烈なキリシタン弾圧と圧政を敷いて、江戸時代最大の反乱である島原の乱の原因を作った人物として知られています。 歴史小…

額安寺~平端 額田部の郷を巡る

皆さんこんにちは。 以前、中世武家館城の面影を残す「中家住宅」をご紹介しました。 www.yamatotsurezure.com 中家住宅のほど近くを、中世から近世にかけて、奈良と五條を結ぶ下街道が通っています。 中家住宅から下街道に沿って北東、郡山の方へ少し進むと…

奈良・山の辺の里の戦争遺跡、柳本飛行場(大和海軍航空隊大和基地)跡

皆さんこんにちは。 奈良・山の辺の里といえば、石上神社や大神神社などの古社や、箸墓古墳、崇神天皇陵といった巨大墳墓が集まる古代史ロマンの里ですね。 以前、この山の辺の里のイメージから少し離れたスポットとして、近世織田氏の城下町、柳本、芝村地…

箸尾城と教行寺~中世城下町から近世寺内町へ

皆さんこんにちは。 今回は、近鉄箸尾駅の南側に広がる箸尾の町をご紹介したいと思います。 場所はこちら。馬見丘陵公園の東側になります。 一般的な観光地ではない地区なのですが、北和と南和をつなぐ下街道が町内を南北に貫き、中世、筒井氏、越智氏、十市…

中世武家居館の面影を残す中家住宅と伝多聞山城門

皆さんこんにちは。 奈良県は稗田環濠集落をはじめ、中世環濠が良好な形で残っている例が多いことで知られていますが、中世武士の居館の佇まいを、現代に伝える場所があることをご存知でしょうか。 奈良県安堵町の「中家住宅」は、二重の堀がほぼ完全な形で…

山の辺の織田氏旧跡を巡る~柳本・芝村陣屋跡

皆さんこんにちは。 さて、奈良県内に戦国随一の有名大名家である織田家の城下町があるのをご存知でしょうか。 戦国の覇者だった織田信長ですが、織田家は彼の横死後に小大名に転落し、江戸時代大名家として残ったのは、次男信雄の家系と、茶人として有名な…

思ってたんと違う(4)源平合戦その2

皆さんこんにちは。 前回、源氏と平氏の関係性について、巷間広まっているイメージとは異なるものであったことをご紹介しました。 www.yamatotsurezure.com 源平の戦いについては、有名な個別の戦いについても、世間一般に広く知られているイメージと、実像…

運慶(3)~神格化された名工

皆さんこんにちは。 日本の彫刻史上、最も有名な人物の一人として知られる運慶を取り上げて今回が3回目の記事になります。 前回は、壮年の運慶の活躍を中心にご紹介しました。 www.yamatotsurezure.com 新たな時代の支配者として台頭してきた東国武士と、親…

大和郡山城外堀を行く(4)外堀東側

皆さんこんにちは。 大和郡山城の外堀巡りも今回でいよいよ最後のエリアとなる東側です。 前回は、市街中心部にも近い外堀南側を紹介しました。 www.yamatotsurezure.com 今回ご紹介する外堀の東側は、秋篠川の旧流路を利用したエリアで、現在一部が外堀緑地…

大和郡山城外堀を行く(3)外堀南側

皆さんこんにちは。 大和郡山市街をぐるりと約5.5Kmにわたって取り囲む、外堀の遺構を巡る第3回です。 前回は外堀西側をご紹介しました。 www.yamatotsurezure.com 今回は、中心市街地にも近い南側のエリアを巡ります。 箕山裏池~高塚池 矢田筋裏池 八幡堀…

僧兵とは何か~中世寺院の仁義なき戦い

平安末期から中世にかけ、武士と時を同じくして現れた「僧兵」。 彼らはどのように生まれ、何をしたのかを詳しく解説します。

大和郡山城外堀を行く(2)外堀西側

皆さんこんにちは。 大和郡山城の外堀巡りの第2回です。 前回は、外堀の北側をご紹介しました。 www.yamatotsurezure.com 今回はお城の西側エリア、蛇ヶ池から大納言塚までをご紹介したいと思います。 ↓の地図の赤線で囲んだエリアになります。 こちらのエリ…

大和郡山城外堀を行く(1)外堀北側

皆さんこんにちは。 色々ありまして、ちょっと気を病んでしまい、会社をしばらくお休みすることになりました。 病気は残念なんですが、図らずも時間は沢山出来たので、前からやりたいと思っていたことを、この機会に無理のない範囲でやれないかなと思ってま…

運慶(2)~大仏師運慶

皆さんこんにちは。 日本史上最も高名な仏師といえば、まず運慶の名が上がるでしょう。 日本仏像彫刻の一つの到達点とも評価され、「天才」の二つ名で語られることも多い運慶は、平安から鎌倉へと時代が移り、貴族に替わる新たな支配層、武士にその作風が愛…

思ってたんと違う(3)源平合戦

皆さんこんにちは。 さて、源氏と平氏といえば、源平合戦に代表されるように、一般にライバル関係にあった一族という見方をされる方も、少なくないんじゃないでしょうか。 年末の風物詩、紅白歌合戦の紅白も、源氏が白、平氏が紅い旗を使っていたことに由来…

運慶(1)~慶派誕生

皆さん、こんにちは。 運慶という仏師の名はご存知の方も多いでしょう。 同時代を生きたもう一人の著名な仏師快慶とともに、平安末期から鎌倉時代初頭にかけて、一世を風靡した仏師集団慶派の全盛を主導し、仏像表現に革命的な変化をもたらしたとされる人物…

思ってたんと違う。(2)廃仏毀釈

皆さん、こんにちは。 突然ですが、廃仏毀釈ってご存知でしょうか。 仏教を排撃して、寺院を破壊したり、仏像、仏典を破棄したりすることを指しますが、1868(慶応4)年に布告された神仏分離令をきっかけに、明治初頭、神道国教化運動の中で仏教が排撃を受け…

思ってたんと違う。(1)中世武士の実像

皆さんこんにちは。 実像とイメージがかけ離れていることって、世の中いろいろありますよね。 とくに、歴史上の人物だったり、事象であったり、遠い過去の話となると、その後作られた創作物などによってイメージが形作られ、実像を知ると「思ってたんと違う…

異端の天才、世阿弥はなぜ忘れられたのか(6)

史上最も有名な能楽師世阿弥は明治まで一般では完全に忘れられた存在でした。どうして世阿弥は忘れられたのか。その生涯を通じて解き明かします。最終回は世阿弥の死後の能楽はどうなっていったのか、そしてなぜ世阿弥はいったん一般社会から忘れられながら…

異端の天才、世阿弥はなぜ忘れられたのか(5)

史上最も有名な能楽師世阿弥は明治まで一般では完全に忘れられた存在でした。どうして世阿弥は忘れられたのか。その生涯を通じて解き明かします。5回目は将軍足利義教から疎まれついには佐渡に配流となった最晩年の世阿弥を紹介します。

異端の天才、世阿弥はなぜ忘れられたのか(4)

史上最も有名な能楽師世阿弥は明治まで一般では完全に忘れられた存在でした。どうして世阿弥は忘れられたのか。その生涯を通じて解き明かします。4回目は観世座の分裂と、孤高の芸術家となっていく世阿弥、そして最愛の後継者であった愛息元雅の死までをご紹…

異端の天才、世阿弥はなぜ忘れられたのか(3)

史上最も有名な能楽師世阿弥は明治まで一般では完全に忘れられた存在でした。どうして世阿弥は忘れられたのか。その生涯を通じて解き明かします。3回目は義満死後の世阿弥の苦境と、世阿弥の目指した能が当時の社会に受け入れられず徐々に孤立していく姿をご…

異端の天才、世阿弥はなぜ忘れられたのか(2)

史上最も有名な能楽師世阿弥は明治まで一般では完全に忘れられた存在でした。どうして世阿弥は忘れられたのか。その生涯を通じて解き明かします。2回目は少年期の世阿弥と室町殿足利義満との出会いから、父観阿弥死後の苦闘、そして義満の死までを紹介します…

異端の天才、世阿弥はなぜ忘れられたのか(1)

史上最も有名な能楽師世阿弥は明治まで一般では完全に忘れられた存在でした。どうして世阿弥は忘れられたのか。その生涯を通じて解き明かします。初回は父観阿弥がもたらした猿楽の革新と世阿弥の出生までを紹介します。