大和徒然草子

奈良県を中心とした散歩や歴史の話題、その他プロ野球(特に阪神)など雑多なことを書いてます。

「武士の家計簿」幕末ファンは必読の書!幕末武士たちの姿をリアルに理解できる一冊。

こんにちは。
歴史好きのブログ管理者が今まで読んだ本の中から、面白かった、皆さんにも読んでいただきたい、という本をご紹介しています。

今回は、テレビでもおなじみの歴史家、磯田道史さんのベストセラーとなった「武士の家計簿」をご紹介したいと思います。


 

 2003年に出版されて以来のロングセラーで2010年には映画化され、名前はご存じの方も多いのではと思います。

この本は加賀前田家の御算用者を勤めた猪山家が残した幕末1842(天保13)年から1879(明治12)年にわたって残された入払帳(要するに家計簿)、給禄証書のほか家族の書簡や日記までが含まれた「金沢藩猪山家文書」を読み解き、幕末から明治、大正にかけて営まれた、ある無名の武士の家族の生活を描いたノンフィクションです。

当時の等身大の武士の姿から大名家の統治構造まで非常によくわかる一冊です。

古文書の解読に長けた磯田さんらしく、当時の武士の在り方を交際費等の各種出費から事細かに描き出すところは、歴史学者の書にふさわしい説得力を感じます。

親戚との交際費、家の格式によって必要な各種出費から、当時の武士たちの意外なほどに苦しい台所事情が見えてきます。
また、家柄だけで役職が決まっていた上級武士とは違い、高い実務能力を維持しなければ役職を維持できない下級武士たちの姿からは、身分制社会にありながらシビアな実力主義の世界が存在したことは非常に様々な示唆を含むものと思います。
特に幕末は、海外列強が日本に押し寄せ、実学の重要性が増した時代。
そんな時代だからこそ実力主義で実務能力に長けた下級武士たちから、多くの幕末維新の志士たちが生まれてきたことに必然性を感じずにはいられません。

一般人向けの新書でありながら、文書から読み解いた詳細な数値とその数値から見える事実の説明は専門書を思わせる実証性のあふれるものですが、磯田さんならではの軽妙かつ分かりやすい説明で、専門家でなくてもしっかり腑に落ちます。

とにかく読みやすい!

200ページ余り一気に読み進められ、文筆家としても磯田さん御実力は相当なものですね。

また、この本の主人公である猪山家の人々の変遷は、幕末から明治という激変期にあって非常にドラマティックであったのも、この本の魅力を大きくしています。
さすがに映画化されるだけのことはありますね。
個人的には堺雅人が主演した映画のほうも大好きです!

歴史関係の書籍というと、どうしても有名な戦国武将や幕末の志士たちに焦点を当てたものが多いですが、本書のような無名の平均的な武士の実像を知ることで、有名な人々が世に出る素地、基盤というものがわかることで、有名人たちをいっそう深く理解できますよ!

最後に「武士の家計簿」とぜひセットで読んでいただきたい本もご紹介します。
こちらも磯田さんの著作で「近世大名家臣団の社会構造」です。

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 こちらの本は学術論文で、江戸時代の上級武士から下級武士までの在り方、養子縁組を通した身分の流動性など、「平均的」といえる各地の大名家文書からの分析から実証的に論じた内容になっています。
ちょっと敷居が高い・・・かもしれませんが「武士の家計簿」と併せて読むと、江戸時代の武士たちの実像が非常によく見えてきます。

「下級武士の身分は実力主義で血統だけでは維持できない」
「上級武士になるほど「槍」や「乗馬」を重んじ「鉄砲」を持ちたがらない」
「算術などの実学を卑しむ」
といった当時の武士の在り方や価値観もよくわかる内容となっています。
これらの事実から幕末に広まった各藩における洋式の兵制改革が、当時の武士、特に上級武士にとっていかに困難なものであったかや、幕末維新期における下級武士たちの活躍の素地がどこにあったのかを示唆してくれます。

学術論文ですが、これも磯田さんの文才か、専門家でなくとも十分に理解できる内容いなっていますので、幕末史に興味のある方などぜひ一度読んでみてください!

 

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