奈良県内を中心に地域の歴史や現在の情報を中心に発信してきた当ブログですが、お陰様で2023年7月9日で4周年を迎えました。
当ブログの記事は、実際に現地を足を運んで取材して書くことも多いですが、資料や絵図などを調べたり、集めたりすることも大変多いです。
今回は、筆者が記事作成するうえで利用している、おすすめの調べものや引用に便利なサイトをご紹介します。
国立国会図書館デジタルコレクション
国立国会図書館で保存・収取しているデジタル化された資料を検索・閲覧できるサービスです。
もはやこのサイトなしには記事が書けないというくらい利用させてもらっているサイト。
ネット上の情報には多種多様な情報があふれていますが、出所が不明だったり嘘や憶測も多いです。
そこで内容の裏取りをするため、信憑性の高い書籍や資料の確認が不可欠なのですが、実際に図書館に都度足を運び、いちから資料を探し出すのも大変ですよね。
しかし、国立国会図書館デジタルライブラリーを使えば、『多聞院日記』『大乗院寺社雑事記』といった史料から、地域史を調査するのに大変便利な自治体史、『日本城郭大系』など絶版で購入するとそれなりに値の張る書籍が、自宅でインターネット環境があれば閲覧できる大変ありがたいサイトなんです。
特に、検索が非常に便利。
キーワード一つで数えきれない数の蔵書の中から、資料だけでなく該当ページまで検索できるので、仕入れたい情報に素早くアクセス可能です。
利用者登録なしでも利用できますが、利用者登録すると著作権切れしていない資料にもアクセスすることができますので、断然、利用者登録がおすすめです。
申請ページから必要情報を記入し、運転免許証などの本人確認書類のデータを送信すれば、1週間ほどで利用者IDが送られてきますので、どなたでも無料で利用できます。
インターネットで公開されている資料の種類は、以下の二つに分けられます。
①ログインなしで閲覧可能
②送信サービスで閲覧可能
利用者登録なしで閲覧できるのは①のみになります。
あと、資料の図版や絵図などをブログ記事に引用したい場合、「ログインなしで閲覧可能」の資料のうち、公開範囲が「インターネット公開(保護期間満了)」となっているものについては、著作権フリーですので、申請等も必要なく自由に引用できます。
※詳しくは下記ページで。
使い方は非常に簡単で、AND検索他、多様な条件で絞込んでいけます。
全文検索できる資料が多いのが本当に魅力的!
※詳しくは下記ページで。
あと、便利な機能としては、ブックマーク機能が付いていますので、よく使う資料はブックマークしておくと「マイコレクション」に追加され、素早くアクセスすることできます。
国土地理院HP・地理院地図
地図以外にも、標高図や航空写真、地形図の表示の他、距離の計測や高低差の計測もできます。
私は主に町やお城の概略図など作成するのに利用しています。
作製した地図は、国土地理院ホームページで作成した旨明記しておくことで、引用できるところも嬉しいところ。
単に地図を明示するだけならGoogleマップで十分ですが、例えば下図(例は小泉陣屋とその城下町の概略図)のように、地図へ情報を書き込んだりできるのが便利です。
その他、地形図を使うと、地図上からは中々分かりにくい城跡の輪郭なども浮かび上がらせたりできます。
例えば下図は宇陀松山城周辺の地図ですが、等高線だけだと城跡の輪郭はちょっとつかめないですよね。
上記の地図を傾斜量図にすると下図のとおり、くっきりと曲輪の輪郭が浮かび上がります。
地図や航空写真では読み取り切れない地形の特徴をつかむのにも便利なサイトです。
奈良県立図書情報館・まほろばデジタルライブラリー
残り二つは、奈良県関係の調べものに特化したものをご紹介します。
奈良県立図書情報館所蔵のデジタル化された資料をインターネット検索・閲覧できるサイトです。
当ブログは奈良県に関する情報を中心に発信しているので、主に奈良の古地図や絵図についてこちらのサイトを利用することが多いです。
公開されている絵図などについては、資料名と奈良県立図書情報館所蔵である旨を明示すれば自由に引用できるところが、非常にうれしいところ。
また、古地図、古絵図以外にも大和名所図会などの江戸時代までの書籍もあります。
ただ、全文検索などはできないので、文書関係は探したい情報を見つけるのに少し労力がいります。
奈良盆地歴史地理データベース・小字データベース
こちらは、奈良女子大学古代学学術研究センターが運営する奈良盆地地理歴史データベースの一つで、現在は殆ど地図上から消えてしまっている奈良県内の小字のデータベースです。
『大和国条里復原図』(奈良県立橿原考古学研究所編)をベースに作られたもので、実際の地図上に小字名とその境界が詳細に記入されています。
残念ながら宇陀郡や吉野郡などの山間部のデータはないのですが、それでも奈良盆地や五條市、御所市山間部あたりの小字は網羅されています。
筆者は主に、環濠集落や今は失われてしまった中世城館の輪郭を掴むのに活用しています。
環濠内やかつて中世城館があった場所の小字には、「~屋敷」「城」「古城」なら領主居館、「~堀」「蓮池」なら堀といった具合に、かつての領主居館や堀の存在を示唆する小字があることが多いので、国土地理院地図の地形図などと対比させながら、今は住宅地や農地に姿を変えた場所の往時の姿を復元するのに利用しています。
さいごに
ご紹介したサイトは、ブログ記事を作成するだけでなく、どのサイトも知的好奇心を満たしてくれる良質な資料を提供してくれます。
特に国立国会図書館デジタルライブラリーについては、これだけの多くの書籍を自宅に居ながら無料で閲覧できるなんて、いい国に生まれたなあと思う内容。
地域史以外にも、社史やスポーツ史なども充実していて、我が愛する阪神タイガースの歴史も、とくに戦前や戦後間もなくの選手の記事など非常に充実しているなど、文化史などに興味のある方も、是非一度利用してください。