歴史好きの大和徒然草子

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大和郡山、洞泉寺遊郭跡に残る「旧川本家住宅」こと町屋物語館。数寄を極めた意匠がいっぱい!内部を見学できる貴重な遊郭建築(下)

皆さんこんにちは。

引き続き「旧川本家住宅」こと町屋物語館の内部のご紹介です。

 

www.yamatotsurezure.com

 

 

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パンフレットの見取り図

ここでパンフレット記載の見取り図です。

本館は遊客の遊ぶ場所、座敷棟は楼主の私的空間でした。

座敷棟の一階は大広間とお茶室なんで主に来客用で、実際の生活スペースは二階だったようですね。

 

 

二階(続き) 

 

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髪結い場から見る猪目窓です。 

猪目窓といえば、京都宇治田原町の正寿院とか、いわゆる「映える」スポットとして有名ですよね。

この建物の猪目窓もふっくらしていてとてもかわいい形です。

ここは吹き抜けになっていて、一階は料理坊になっています。

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中庭の吹き抜けに面したガラス戸です。

こちらのガラスは揺らぎのある昔のガラスで、今ではもう作ることができないものですね。

私の母の実家のガラス戸がこのガラス使ってたんですが、現在住んでる伯父さんが最近リフォームしたときに全部今どきのガラスサッシに変えてしまいました。

もったいないなあ、と思いつつも、やはり昔のサッシなので気密性が低く、エアコンとかききにくかったらしく、実際住むとなると致し方ないのかなあとも思ったり。

子どものときは祖父母の家に帰ると当たり前のものだったんですけど、貴重なものだと知ったのはつい最近になってからでした。

知ってたらもっとちゃんと見とけばよかったと後悔してますが、この町屋物語館のようにきれいに保存してくれている場所があると、なんだかほっとします。

 

三階

 

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三階に上がってきました。

三階は裕福なお客さん用だったとのことで、写真奥の客座敷では宴会もできたそうです。

窓の意匠がとてもお洒落なんですが、お隣が丸見えですね。

なんのための窓だったんでしょう。

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二階と三階をつなぐ大階段。

残念ながら現在は通ることができないのですが、往時は二階と三階を繋ぐメインの導線だったのでしょう。

 

大和郡山市では毎年雛祭りのころ「大和な雛まつり」というイベントが催されます。

市内の各所に雛人形が飾られるのですが、ここ町屋物語館でも各部屋に雛人形が飾られ、とくにこの大階段をひな壇にした雛人形は壮観です。

 

ちなみにこちらの階段、プレオープンの時転落された方がいらっしゃったとかで通行禁止になったそうです。 

再び一階

 

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一階に戻ってきました。

この階段ですが横の壁板に松葉形が彫られていておしゃれですね。

随所に遊び心の詰まった意匠が凝らされているお屋敷です。

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一階の仏間から東側のお部屋を望みます。

障子の模様がとてもおしゃれです。

このあたりは従業員のスペースでしょうか。

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同じく仏間のから南側。奥は受付のお部屋で、中庭が見えますね。

硝子戸の模様がこちらも美しいですね。

 

中庭から奥の西側は座敷棟で、楼主の私的空間でした。

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中庭です。涼し気ですねー。

町屋は両隣軒を連ねると家の側面に窓をつけて採光できないので、中庭を作って上から直接採光しています。

この中庭の薄明かりが町屋独特の雰囲気を作ってくれますね。

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一階の大広間です。

奥には茶室もあったので、主に座敷棟一階は来客用のスペースだったのでしょう。

こちらの食い違い棚の前の床板はヒノキの一枚板で、これだけ大きなヒノキの一枚板はめったにないのだとか。

こういう何気ない場所に贅を尽くすのが「数寄」の神髄ですね。

ただし予備知識なしに見ていても全く気付かないかもしれませんね。

そういう「見どころ」が非常に多いので、空いていればボランティアさんのご案内を受けるのがぜひおすすめです。

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こちらはトイレですが、扉の窓の形が「松・竹・梅」になっています。

トイレに至るまで徹底的に遊び心があふれています。

やはり遊興の空間。「数寄」やな~という感じですね。

 

 ここまで、町屋物語館の中をご紹介しましたがいかがだったでしょう。

 

この施設は空き家となっていたのを大和郡山市が買い上げ、さらに耐震補強工事までおこない、総額1億円以上の費用をおこなって公開に至りました。

もともとの施設の性質上、公金を投入しての保存に反対の意見もあったそうです。

働いていた遊女たちの身の上や心情を思えば、そういう意見が出るのももっともかと思います。

しかし、市としては建築としての貴重性を認め、「遊郭」という現在の人権感覚から言えば「負」の側面を持つ過去も含めて、保存することに決めました。

「臭いものにはフタ」となることも多い中、大英断であったと私は拍手を送りたいです。

ボランティアの方も「遊郭」であった過去も含めて、「なかったこと」にはせず、ありのまま末永く残していきたいとおっしゃってました。

私も全く同意見です。

 

この「旧川本家住宅」は、かつて明治大正から昭和にかけての遊興文化の世界を直接目の当たりにできるとともに、当時の「遊郭」とはどのようなものであったのかにも思いを馳せられる本当に奥深い遺構です。

 

しかし木造建築でよくここまでしっかりと残ってくれたと思います。

「旧川本家住宅」は売春防止法の猶予期間満了と同時に「遊郭」としては廃業し、その後下宿となった後は長らく空き家であったので、建築当時の間取りや設備が良好に保存されたのかもしれません。

また、大和郡山市の買い上げ後も、長年にわたる市民の不断の努力で維持されていることはたいへん素晴らしいことで、一市民としても誇らしく思います。

 

帰り際、ボランティアの方のお話で、利用者は県外の方が6割以上とのことでした。

やはりかつての遊郭建築の中を見学できる場所は珍しく、知る人ぞ知る施設になっているようです。

この貴重な遺構を後世に長く伝えていくためにも、たくさんの方に訪問いただいて、ぜひ数寄を凝らした建築の意匠をお楽しみいただきたいです。

 

 

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