大和徒然草子

奈良県を中心とした散歩や歴史の話題、その他プロ野球(特に阪神)など雑多なことを書いてます。

2022-01-01から1年間の記事一覧

戦国大和の覇者、筒井順慶の居城・筒井城の歩き方

奈良県大和郡山市にあった筒井城は中世大和の主要な国人領主だった筒井氏の居城で、奈良盆地の中世城郭としては最大規模を誇ります。 廃城後、城跡は市街地の中に埋もれていきましたが、内堀や外堀の一部は残り、かつての堀跡は多くが水路に形を変え残されて…

竜田越え奈良街道・西和最大の宿場町、龍田。旧街道沿いの町並みと龍田神社、中井正清ゆかりの古刹とぽっくり寺・吉田寺を巡る

奈良県斑鳩町にある龍田神社を中心とする龍田の町は、竜田越え奈良街道に面する市場町として鎌倉時代から栄えた歴史ある地域です。 江戸時代からの町屋が残る町並みや徳川家康お抱えの大工棟梁となった中井正清ゆかりの寺院や、ぽっくり往生の寺など見どころ…

紅葉の名所・竜田公園を外堀とした幻の城郭・龍田城(龍田陣屋)

奈良県斑鳩町の紅葉の名所・竜田公園の東側一帯は、「賤ケ岳の七本鎗」の一人で、豊臣秀頼の家老であった片桐且元の居城・龍田城がありました。現在は城地のほとんどが住宅地となり、遺構は内堀の一部しか残されていませんが、古絵図と見比べながら現地を歩…

思ってたんと違う(12)どうする家康!?神君伊賀越え~異説大和越えルート・決死の逃避行で大和を越えた家康

2023年大河ドラマの「どうする家康」でも、山場エピソードの一つとなるのが、本能寺の変後に堺から領国三河への決死の逃避行「神君伊賀越え」で、徳川家康人生最大の苦難の一つとされます。 堺を発った家康は山城から信楽、伊賀と経由して伊勢に抜けたという…

祝・国史跡指定!紅葉色づく晩秋の郡山城城跡を巡る。

2022年11月に国史跡に指定された郡山城跡は、桜の名所として有名ですが、晩秋、柳沢文庫付近を中心に紅葉が鮮やかに色づきます。 郡山城の内郭を中心に見どころをご紹介します。

多武峰街道、大和鯖街道の終着地と桜井発祥の地を歩く~桜井まち散歩2

奈良県桜井市の札の辻、多武峰街道沿いに桜井魚市場の石碑があります。江戸時代、遠く熊野灘で水揚げされた鯖は大和の鯖街道を通って桜井まで運ばれ、三輪そうめんと並ぶ桜井の看板商品でした。多武峰街道沿いや桜井の地名由来の旧跡をご紹介します。

江戸~昭和初期の町屋・建築が残る旧伊勢街道とアーケード街~桜井まち散歩1

今回ご紹介する奈良県桜井市の中心市街は江戸時代にお伊勢参りで賑わった伊勢街道の宿場町でした。今も往時をしのぶ町屋をはじめとした江戸~昭和初期の建物や街道沿いの宿場町に特徴的な道筋がのこります。また、町内寺院には明治の廃仏毀釈で姿を消した興…

思ってたんと違う(11)「洞ヶ峠の順慶」にあらず。山崎の戦いのキャスティング・ボートを握った男・筒井順慶

筒井順慶は戦国大和を代表する戦国武将ですが、一般的には「洞ヶ峠の順慶」として有名です。山崎の戦いでは日和見を決め込んで後日秀吉に叱責された優柔不断な武将というイメージが巷間流布していますが、実は山崎の戦いの結果に重大な影響を与える重要な立…

中世大和一向宗の拠点・吉野。蓮如創建の飯貝御坊・本善寺は美しい桜と近世真宗建築の宝庫

奈良県吉野町の飯貝御坊・本善寺は中世以来、吉野を中心とした本願寺教団の布教拠点だっただけでなく、大和国では一家衆寺院として最高の寺格を持って崇敬を集めました。境内には近世浄土真宗建築の特徴を伝える堂宇が建ち並び、春境内を彩る「懐桜」は大変…

思ってたんと違う(10)ヤクザ、右翼~近代議会政治と暴力はいかに結びついたか~政治と暴力2

現在では議会政治の場で公然と暴力を振るうことは考えられませんが、かつては議会政治において暴力は密接な関係にありました。吉田磯吉など現在なら暴力団の首領といえる人物が国会議員となり、政党政治家が博徒を糾合して公然と右翼団体を設立することもあ…

中世大和における一向宗の一大拠点・吉野。下市御坊・願行寺は蓮如ゆかりの古刹

奈良県下市町の下市御坊・願行寺は奈良県で二つしか現存しない室町時代の枯山水の庭園のほか、室町から江戸中期までの建築が現存する浄土真宗寺院で、穴場の散策スポットです。 中世の本願寺教団が大和国で最初に教線を伸ばした吉野。その拠点寺院の一つが願…

思ってたんと違う(9)志士、ヤクザ、壮士、院外団~日本の政治と暴力の切っても切れない関係はどのように作られたか~政治と暴力1

コンプライアンスが徹底され全国各地に暴排条例が作られている昨今、ヤクザなどの暴力集団が公然と政治にかかわることは現在考えられないことになっています。 しかし、最近まで日本の政治と暴力は強く結びつき、それは日本の議会政治の発展とともにありまし…

般若寺~15万本のコスモスが境内を埋める奈良坂のコスモス寺は花と歴史があふれる場所

お花の寺として有名な般若寺は初夏と秋のコスモスがとくに有名でコスモス寺の愛称で親しまれています。境内には国宝の楼門、重文の十三重宝塔があり境内に咲き誇るコスモスと堂宇のコントラストが美しいだけでなく、相次ぐ戦乱に晒され、平重衡、護良親王所…

奈良きたまち散歩・多聞山城や話題のスポット旧奈良監獄など見所いっぱいの奈良坂エリアを散策

新たな奈良の散策スポットとして注目されている「奈良きたまち」。その中でも京都府との府県境に近い奈良坂エリアは、多くの名所・旧跡が集中するエリアです。当記事では多聞山城跡や旧奈良監獄といった奈良坂エリアの注目スポットの見所などご紹介します。

知られざる島左近ゆかりの城跡スポット・平群中央公園(2)西宮城

皆さんこんにちは。 二つの中世城郭が敷地内に含まれる都市公園・平群中央公園。 前回は公園内の城跡のひとつ、下垣内城をご紹介しました。 www.yamatotsurezure.com 今回は公園内のもう一つの城跡、西宮城をご紹介します。 馴染み深いご近所の児童公園が、…

知られざる島左近ゆかりの城跡スポット・平群中央公園(1)下垣内城

皆さんこんにちは。 奈良県平群町の平群中央公園は、多目的広場やテニスコートの他、ジョギングコースや巨大スライダーが目玉遊具の冒険広場など、大人から子どもまで楽しめる平群町民にはお馴染みの公園です。 実はこちらの公園、その敷地内に中世城郭の跡…

環濠の成立年代が確定された貴重な中世集落・若槻環濠集落で中世以来の美しい水堀を巡る

皆さんこんにちは。 中世、外敵の侵入を防ぐため集落のまわりを堀で囲んだ、いわゆる環濠集落が全国各地に出現しましたが、奈良県は中世以来の環濠集落が、現在も数多く残されていることで知られます。 県内の多くの環濠集落が、南北朝時代から戦国時代にか…

思ってたんと違う(8)決して衰退していない!室町・近世の建築・仏像文化

皆さんこんにちは。 筆者の地元、奈良県は飛鳥・奈良時代から伝わる建築や仏像彫刻の宝庫です。 法隆寺や薬師寺の東塔、興福寺の奈良、鎌倉時代の仏像群は、現在残っているだけでも貴重なうえに、その造形の素晴らしさからも、文化財として高い評価を受けて…

横田環濠(横田平城)・筒井順慶の重臣・松倉右近の旧跡を巡る

皆さんこんにちは。 大和国の戦国大名と言えば筒井順慶が有名ですが、順慶を支えた重臣として知られるのが、島左近と松倉右近。 今回はかつて松倉右近が本拠とした、現奈良県大和郡山市横田町の横田環濠をご紹介します。 島左近は、後に石田三成の家臣として…

十市城~水田に消えた中世城郭の面影

皆さんこんにちは。 今回は奈良県橿原市にある中世城郭、十市(とおいち)城の周辺を散策してきましたので、ご紹介します。 堀や土塁などの遺構はほとんど見当たりありませんでしたが、外郭の市場町であったと推定される、現在の十市町の集落は、遠見遮断の…

思ってたんと違う(7)倒幕に失敗した後鳥羽上皇は日本史上屈指の帝王だった!?

2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で主人公北条義時の最大の敵となる後鳥羽上皇は敗者ゆえに後世厳しい評価にさらされましたが、史上屈指の有能多彩な天皇でした。武者の世を決定づけた承久の乱も、後に倒幕を成功させた後醍醐天皇の倒幕計画に比べはるかに…

皇紀2600年で消えた寺内町、畝傍御坊・信光寺

皆さんこんにちは。 今回ご紹介するのは、大和五ヶ所御坊の一つ、奈良県橿原市の畝傍御坊・信光寺です。 大和国内、とりわけ国中(くんなか=奈良盆地内)における本願寺教団の布教拠点として、戦国時代から江戸時代の初期にかけて建立された、今井、御所、…

日本で2番目に小さな町の太子道が縦貫する中世環濠・伴堂環濠

皆さんこんにちは。 今回は、奈良県三宅町の伴堂(ともんどう)環濠をご紹介します。 「ともんどう」って、少し変わった読み方ですが、コンパクトな中にも見所の多い環濠集落でした。。 伴堂環濠とは 環濠 太子道 三宅町交流まちづくりセンターMiiMo 伴堂環…

思ってたんと違う(6)江戸時代のサムライは意外と実力主義

皆さんこんにちは。 江戸時代の身分制度というと、筆者が学生だった時分は、士農工商に分かれ、基本的に生まれついた身分から、別の身分にはなれないものと習った方も多いかと思います。 2000年以降は、江戸時代には士農工商といった身分制度と、上下関係は…

環濠の森に立つ室町の美しい神社本殿~奈良県景観資産・藤森環濠

皆さんこんにちは。 2022年、新たに国の重要文化財として登録されることになった、奈良県大和高田市にある十二社神社本殿は、中世からの環濠に囲まれた小さな集落、藤森環濠集落にあります。 場所はこちら。 中和幹線の藤森交差点を下街道沿いに少し北に向か…

思ってたんと違う(5)前近代の罪と罰

皆さんこんにちは。 悪いことをしたら捕まって、裁判を受けた後、罰を受けます。 現在では当たり前のことなんですが、前近代、とりわけ中世以前では、その様子はずいぶん違ったものでした。 今回は、そんな今と違う前近代の刑罰事情や治安のあれこれをご紹介…

開業100周年を迎えた東信貴ケーブル(東信貴鋼索線)廃線跡をたどる

皆さんこんにちは。 大阪府と奈良県の府県境にある信貴山は、「信貴山の毘沙門さん」こと朝護孫子寺で有名ですね。 こちらへのアクセス経路としては、現在自動車の他、大阪府八尾市の信貴山口駅からケーブルカーがありますが、かつて、もう一つルートがあり…

鎌倉殿の13人~後世まで子孫が生き残り栄えたのは誰の家か

皆さんこんにちは。 2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、今まで日本史では、戦国や幕末維新に比べて人気のなかった平安末期から鎌倉初期の時代が、にわかにスポットを浴びました。 このドラマのタイトルにある13人とは、鎌倉2代将軍源頼家のとき形成された…

西大寺~荒廃と復興を繰り返した不滅の法灯

皆さんこんにちは。 2022年7月8日、安倍晋三元首相が遭難した場所として、にわかに全国的な注目を受ける場所となってしまった、近鉄大和西大寺駅。 近鉄沿線の奈良県民には、とても馴染み深い駅が、全世界を震撼させるような事件の現場となってしまったこと…

廃仏毀釈で廃寺となった、大神神社の神宮寺(大御輪寺、浄願寺、平等寺)を巡る

皆さんこんにちは。 以前廃仏毀釈で廃寺となった、奈良県桜井市にある大神神社の3つの神宮寺についてご紹介しました。 www.yamatotsurezure.com 今回は、明治に廃寺となった大神神社神宮寺である大御輪寺、浄願寺、平等寺の現在の姿をご紹介します。 訪れる…